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3月「こうりつとしゅうろう」

正規職員はもちろん、非正規職員の時間外労働が常態化している。

業務内容の検討は常に試みられているが、社風というか伝統というか、
役員たちが現場に居た頃“うまくいっていた”方法を変えるという発想自体、受け入れがたいようである。

立ち上げの、人も物も不足していた頃には、必要なものを手探りで見つけ、作り出す必要があったし、
その為に今の組織があるのは分かる。しかし、その方法を繰り返した結果、書庫は既に溢れ返っている。

必要に迫られて、その都度作成した書類を見直したとき、様式が異なるので、
一見別の内容に思えても、一つにまとめることができるものが見つかる。
これを整理すれば、現場の負担が軽減されるのだが、それをする為に人と時間を裂けないのである。

どの道、非公式に時間外に働くならと、少しずつ、それらの書類を整理する動きもあるが、
それができても、今までと様式が変わって読みにくいなどと言い出すから始末に負えない。

既に職員一人辺りの労働が超過しているのだから、
その軽減を図るのが組織の責任ではないかと思うのだが、残念ながら、
目の前の負担に文句を言うのが精一杯のようである。

一方で、就労の機会に恵まれない話を聞く。現場が既にこのような状態なので、
仕事はいくらでもあるのだが、それを市場に還元できていないのが、この国の不思議なところである。

人を雇うこと自体が経費を圧迫するので、経費削減の為に正規採用をしないのである。
それを効率化と呼ぶあたり、ユーモアのセンスはあるのかも知れない。


人手があるなら工程を増やす。足りないなら効率を図る。

単に経費を削減するのではなく、就労の機会を保障することが必要なのである。


通信販売を利用すると運送料金が発生することが多い。
実際に現物を見たいということもあって、自動車を持っている人は、自分で買いに行くのだろう。

しかし、運送料金が発生するということは、そこに運送という仕事が発生しているのであり、
それを利用しないということは、仕事の機会を奪っていることに他ならない。

実際のところ、単に支払う金額が安いという理由で買い物をすると、
国内の市場に反映されないことが多くなっている。

国内のというと話が大きすぎて実感をもちにくいかもしれないが、
大型店舗の出現に伴って地元の商店が閉鎖に追い込まれたことは記憶に新しい。

大量生産によって低価格を実現したのは、消費者にとって有難くはあったものの、
収益が地元に還元されなくなり、特定の企業だけが利益を得る構造を生み出した。

効率化という発想の原点は、薄利多売の精神から、消費者に安く大量に売るために生産性を向上させ、
会社が儲けるというより、社会に還元することが念頭にある。

そこには人が暮らす社会があり、生産者も消費者の一人として、それぞれ仕事に携わっていた。

しかし現在は、会社の利益ということが至上となり、組織は人であるという精神さえ失われた。
言うまでもなく、消費者はすでに還元する対象ではなく、搾取の対象である。

良いものを安く手に入れるのが、賢い消費者であり、
それを実現できるのが、良い企業という構図は失われつつある。

景気が低迷して、安いものしか買えない、という実情もあるだろうが、
それ以上に、企業は利益を上げにくくなっているため、良いものは高くせざるを得ない。

しかし、高いと売れないので、質を下げる企業も出てきた。

食品のラベルを見れば、販売会社の名前はあっても、
製造会社の名前を載せないところが増えてきている。

製造番号が記載されており、問い合わせは可能であるが、
どこで作られたものなのかは分からない。

何も、国産にこだわる必要はないのだが、
国産でないとすれば、国内に於ける就労の機会が失われていることを意味する。

人件費が高いので、国内で作ると価格を下げられない。

しかし、国産でないと分かると心象が悪い。

そのような理由で、製造会社の名前を載せていないのだろうか。

明らかに輸入品であり、品質が保証されているものは、国名が載っていることを踏まえると、
人件費が安くても、衛生面などの関係で心象が悪く、載せにくい国で製造していると邪推せざるを得ない。

材料は国産の表記でも、ガーナのチョコレートがそうであったように、
製造は別の国で行われているのであろう。

品質に問題がなければ食品としては構わないのだが、
労働の機会が海外に移っていることを考えると、この国は近い将来、
少子化という理由だけからではなく、暮らしがなりたたなくなるかも知れない。

肥大化した業務内容は、担い手人口の減少に伴って、効率化を図る時期を迎えているが、
就労の機会を失わせて良いことにはならない。

ワークシェアリングの思想に基づく、ただ効率を図るだけではない、
お互いに社会貢献できる労働の在り方を探る時期に来ているのかも知れない。
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